さあ、ここからどこへとんでゆこうか……。

2007年3月13日火曜日

ANA1603

まずは乗員乗客の無事に快哉を叫びたいところですが、
今のところ誰もが乗ることのできる世界でもっとも「ソラ」に近づける乗り物での事故だけに、
心が痛みます。

そして、どうしても心に引っかかりを覚えるのがテレビによる1603便の実況中継。
なぜ中継するのでしょうか。

「緊迫した状況で、国民的な関心も高い」
確かにその通りです。
「乗員乗客60名の動向をいち早く伝えるのは報道機関としての責務である」
異論ございません。

…でも、それって結果オーライの思考じゃございませんこと?

万が一、同機に不測の事態が発生したとき、冷静にそして客観的にカメラが情景を映し出し、
記者が様子を伝えようとするでしょう。
同じ日に起きた、クジラを沖に誘導していた漁船が転覆した瞬間をとらえたのと同じように。

その漁船に乗っていた方のうち、1人は亡くなりました。

残念ですが、情報不感症である現代の視聴者の多くは、「わぁ、すげえ」という以上の感情を
その映像から感じ取ることはできないでしょう。
映像体験なら、本物よりも衝撃的な虚構にすっかり慣れっこですから。

その映像をフォローするのが感情むき出しの記者のアナウンスなのだとしたら、
これほどお粗末なことはありません。

そこまで考慮して事件を報道してこそ、
はじめて崇高とされるマスコミの社会的使命を果たしたといえるのではないか。
そう思えてなりません。

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